学生時代に当時、リクルートコスモス事件で揉めていた安倍晋太郎代議士(安倍晋三元首相の父親)が会長を務める自民党の団体で秘書のアルバイトをしたことがあります。私が留学するジョージタウン大学の客員教授が発起人で、元国連大使やジョージタウンの著名な教授陣も来日し、明治記念館でかなり大きなPARTYを開いたのを覚えています。当時の名刺やリストが出てきたので見ていたら、安倍晋三元首相が安倍晋太郎氏の秘書と書いてあるので、どうやら私も会っていたようです。当時は華やかな政治の世界、派手なPARTY、そして鳩山由紀夫、邦夫代議士や中川昭一代議士など身近で見ることができ、そのような体験ができたことでかなり興奮していました。ただ、その団体も含め、政治の裏の世界を見てしまった部分もあり、ジョージタウン留学後は、国家公務員や政治の世界に入る意思は消え、むしろメディアに行きたいとNHKワシントン支局でインターンなどをしました。あれから30数年、今回の政治資金の問題でようやく安倍派の先行きもあやしくなってきました。

 

前回、アハズ王の話をしましたが、聖書には悪いリーダーにより国家が退廃していく歴史が書かれています。企業経営もそうですが、良いリーダーがいれば企業は成功します。国家も良いリーダーが建てば繁栄をもたらすことができるはずです。ただ、日本の場合は、環境や伝統・風習といったものが大きく、なかなか変革をもたらす良いリーダーを生むのは困難だと思います。日本の大企業もそれと似ていて、私が経営コンサルティングをしていて、日本の親会社、取締役といったレベルになると、その体制の変革をするのは著しく難しいと感じました。それが、もっと大きな日本という国家、政治となるとほとんど不可能ではないかと感じてしまいます。だから、CVSの卒業生には大企業に就職するのではなく、コンサルや起業することを勧めたのですが、その道に進んだ人は活躍が見えますが、大企業や公務員になった人は消えて見えなくなってしまいました。

 

日本社会にはその根底に良くしていこう、改善していこうというエンジンはあります。ただ、それらは唯一政治的な利害が一致した際に実施にむかっていきます。今回も何らかの政治的な意図と結びつき、政治献金の疑惑も内部から何らかの手が入り動いたものと想像できます。一見、襟を正すような浄化に見えますが、抜本的に伝統や慣習を改めるようなことにはならないでしょう。結局は何らかの政治的勢力争いであり、過去起きてきた政治的摘発の一つでしかなく、国民にとっても「またか」というワンパターンのハリウッド映画を見ている気分にしかならなず、古代イスラエル同様に退廃の道を突き進んでいってしまうのです。

 

安倍元首相が暗殺され、統一教会問題がようやく動き始めたことなどはかなり大きな方向転換ではあります。ただ、統一教会の問題はもう30年間も取りざたされていたことであり、ジャニーズの問題を含め人が死なない限り変革を起こすことができないのでしょうか?ここまで時間がかかってしまう「変革の遅さ」は徐々に日本を弱体化させていくのではないかと心配しています。歴史的に日本人は自然災害、戦争、外国からの侵入などの危機的な状況にはしっかり対応できていますが、内部の浄化、改善、改革といったものはなかなかうまくすすんでいません。なので、日本崩壊のシナリオとして成り立つのは、大きな自然災害や、戦争ではなく、がん細胞が体を蝕むように、内部から徐々に弱体化し、最終的に分裂崩壊していくというものです。特に人口が減り、将来的に高齢者が増える中、現在抱える水準の財政赤字をどのように処理していくのか?前途多難の日本将来を変革するようなリーダーが現れるのでしょうか?

 

これらの「遅さ」にある根本の問題は、「空気を読む」といった日本の文化の中にある、人々が作り上げる雰囲気や反応にリーダーが気を取られすぎているという問題があります。政治は日本国民の国民性の表れであり、最終的に苦しむの国民であるが故、それを変革できないのはむしろ国民の意思なのかもしれません。

 

キリストを十字架につけさせたイスラエルの国民は、ユダヤ戦争を引き起こし、国は崩壊し、DIASPORAというイスラエル民族が離散してしまうという悲劇を生みます。『歴史的に預言者「変革者」に耳を貸さなかった祖先達』とステパノは言っていますが(使徒行伝7章)、人々が予言者、そしてキリストまで十字架につけ予言を聞こうとはしません。そのユダヤ人は結果的に国を追われ、離散し、行った先々で差別を受け、つい100年前にはホロコーストという悲劇まで体験します。70年から1945年までの実に1800年以上も離散していくのです。衰退する大企業同様に現状維持を好むそのカルチャーが故に、崩壊が待っているのです。日ユ同祖論の中には、日本人もユダヤ人の一部が入っているという考えがあります。そのユダヤ人が歴史的に背負ってきた苦労を日本人も引きずってしまうのでしょうか?私は日本人であり、日本が好きです。何とか、今後とも日本が豊かな国であってほしいという願いがあります。ただ、趣味で書いているSF小説では日本の半分は中国になっています。日本の政治が良くなり、経済、産業で世界をリードできるような良い国になるためには、変革を受け入れる「空気」を人々が作り出す必要があります。今日も変わらない空気の中、年末の一日を迎えようとしています。

 

明後日(12月31日)、浅草北部教会での礼拝にてイザヤの予言が意味することについてメッセージをしますので、来れる人はきてください。礼拝は10時15分に始まります。お土産をもっていきます。会うのを楽しみにしています。