42は厄年と言われ、昔から良くないことが起きる年齢だと言われています。実際、脳梗塞、心筋梗塞といった突然死は40代以降に急上昇します。実に死因の20%にもなるほどです。(日本循環器学会資料)過労死などもこの年齢で多いのですが、要は仕事のストレスに体がついていかなくなる年齢なのです。なので、40歳以降は人を使い、自分は後任の育成及び判断をする仕事をするべきです。30代の感覚で無理して働いている場合、過労死のリスクのみしかないので、生命保険に入るか、自分の仕事を見直す必要があります。私は43でコンサルティングの会社をリタイヤし、第二の人生を歩むことにしました。数年後、同僚のコンサルタントが出張中に心筋梗塞でなくなりました。まだ40代の元ラグビー選手で健康な人でした。コンサルティングは出張が多く、ストレスレベルが高い仕事ではありましたが、40代にもなるとだいぶ慣れてくるので、脳ではストレスとして捉えなくなります。但し、体はそうはいかないのです。

 

3.子曰、四十而不惑 (40にして惑わず)

「惑わず」とは的確な判断ができるということです。「若気の至り」という言葉がありますが、若いときは良い判断ができない、間違いを犯すという傾向があります。でもまだやり直すことができます。若さゆえにです。但し、人生の半分である40にもなってこういった間違いは命取りになります。40にもなったら、的確な判断ができるようになっていなければなりません。仕事は若い人に任せ、自分は指導と判断のみに徹するべきです。長時間労働や過度のストレスがある環境にいてはならないのです。

 

もし、15にして志し、30にして自立していれば、40までにそれなりの経験と実績があるはずです。それが故に、人に指導できることもあるはずです。従来、特に職人などの世界ではある程度この年功序列的な職業スキルのProgression Modelがありました。ところが近年のテクノロジーの変化がそれを一変させました。若い人の方がテクノロジーの活用が早く、世の中がテクノロジーによって変えられていく中、テクノロジーに対応できない「おじさん」は存在価値を見失い、社会的にも邪魔者扱いされるようになってきました。これは「おじさん」が現状にあまえ、テクノロジーに対する判断を誤ったということが言えます。但し、たとえテクノロジーを理解することができなかったにせよ、「人を育てる」というスーパーバイズする能力があればそれなりに存在価値はあり、邪魔者にはならなかったでしょう。温故知新とは同じ孔子の言葉だと言われています。「子曰く故きを温め新しきをしれば、もって師たるべし」つまり、昔から伝わる若者への指導能力と、新しいテクノロジーの意義をちゃんと理解していれば、先生として務まり、若者もついていくのです。日本に邪魔者おじさんが増えてしまった理由はテクノロジーの進化についていけなかっただけでなく、成熟して肥大化してしまった組織にいて、なかなか昇進の機会がなく、更には模範になるような上司のいない環境で、しっかりとした人材育成がされていなかったことにあります。それが最近のセクハラ、パワハラといった問題につながっているのだと思います。スポーツでも現役をリタイヤしたらコーチなど人材育成に徹します。社会人も同様で40を過ぎたら人材育成のスキルをしっかり身に着け、指導をする仕事に徹するべきです。

 

同時に40を過ぎたら健康管理を優先すべきです。過労死は自分だけでなく、家族、周りにも悲劇をもたらします。特に日々の運動と、食生活の見直しが必要です。私がコンサルタントの時はとにかく外食が多く、外食はカロリーが高くコレステロールが高くなりました。野菜を多くとり、適度な運動をすることを優先すべきです。そういった健康管理が日々のルーチンとしてスケジュールに入ってなければならないのです。同時にそういったルーチンのスケジュールを立てることができないような仕事はやめた方が良いでしょう。たとえ所得を犠牲にしたとしても健康を優先すべきです。

 

更に自分が生きる環境に関しても常にだれかに見てもらえるような職場、家庭環境が必要です。昔、偉人には付き人がいました。そして付き人がその人の安全や健康をチェックしてくれたのです。突然死の場合はすぐに発見されるかどうかが生死を分けます。特に月曜の朝に起きる可能性が高いらしいので家庭内でも誰かにみてもらう必要があります。最近は未婚で一人暮らしの40代が増えているようですが、昔からなぜ人は結婚をしていたのか、生きる上でなぜパートナーを必要とするのかを恋愛という枠を超えて考えてみる必要があります。なので、この年齢ではある程度の貯蓄が無ければそのような環境はできません。それ故、15にしてしっかり学業を志し、30に独立できる水準でしっかりと働いていた実績が意味を成します。そして40にもなれば人を指導し、使い、自分の仕事は第一線から身を引き、出張や労働時間も減らすようにしなければなりません。つまり、十分な金銭的な貯蓄と知識と経験の貯蓄がなければ恵まれた40代を迎えることはできません。更には必要以上の貯蓄は必要ないので、仕事をある程度人に譲るという節度と余裕も必要になります。

 

40歳になった人の殆どは、40になった、自分は中高年の域に入ったという自覚がありません。私も40の頃出張中に頭がくらくらしたので病院で精密検査を受けたことがあります。本人はまったく認識がないと思うので、40になる人がいたら、誕生日のプレゼントとしてこのメッセージをコピーしてあげるといいでしょう。