「公務員は安定しているから良い」そういうバカなアドバイスを聞いて公務員になる人は後悔するでしょう。70年代には鉄鋼が良い、80年代には金融が良いと、日本人の多くは現状を見て将来の選択をする傾向があります。そういう短史眼的な人は戦略的な発想ができずに失敗します。株の投資、就職、更には結婚相手を選ぶのにも失敗するでしょう。自分の判断の結果として将来があります。間違った判断をすれば将来は悪い方向にいきます。そして判断をするには将来を見抜く能力が必要になります。人生は判断の連続です。賢い判断ができる能力は何よりも重要な能力です。

 

私は以前、日本を代表する企業はグローバル化して、雇用、投資という点での貢献は減り、産業として観光ぐらいしか将来性がないといいましたが、実際そのような状況になりつつあります。今回は公務員が大幅にダウンサイズされることについて書きます。これは常識的に考えて簡単に想定できます。少子化、経済停滞の中、税金で成り立っている公務員の仕事はむしろダウンサイズされねばならないのです。更にはAIやロボットといったテクノロジーの進化を見れば明らかにある単純な事務作業は減るということが言えます。そして社会に生産を生まない、公務員という仕事は貴重な労働力を投資する必要はないのです。パブリック・ポリシーを決める機能は必要ですが、本来その機能は政治家のもの、政治家のスタッフがすべきことであり、公務員の枠外になります。もし以下の理由付けに反論できないのであれば、公務員をしている人に転職を勧めましょう。

 

1)少子化と町村合併:少子化の影響は既に地方で出てきています。そんな中、住民税にしても中央政府からの予算にしても上がる見込みはありません。むしろ縮小していきます。その手続きとしてあるのが町村合併であり、役所の機能が集中していきます。全体としてのPositionが少なくなっていきます。二つの町村が一つになれば、一つの役場がつぶれ、その人たちは職に溢れます。

 

2)AIとテクノロジーによる事務作業の削減:AIはコンピューターが判断をしてくれるという機能です。たまたま消費財の最大市場である自動車産業が投資しているので、運転手がいなくなるといった予言がされていますが、それより簡単に導入できるのが公務員の仕事です。役所に行けばわかりますが、テクノロジーが使えない年寄りに意味もなく丁寧な担当をしている公務員がいますが、そういう年寄りは減り、更にそのような懇切丁寧なサービスを提供する余裕がなくなってきます。フォームを記入して記入内容に応じて補助金を出したり、登録を変えたりといった業務は最もAIに適した簡単な判断になります。AIは速いスピードで一般化していき、役所も導入せざるを得ない日が来るでしょう。

 

3)意味のない給与:日本は他国と比べて公務員の給与が平均給与より高くなっています。これはあってはいけない状況です。税金を使い、人々へのサービスとして奉仕をする公務員は公のメリットを最大限にしなければならないのです。例えば、アメリカでは障がい者や貧困者の雇用調整の場としても、公務員の仕事があります。民間で仕事がないからこそ役所で仕事を見つけてあげる必要があるのです。だからこそ、民間より高い給与を出す必要性もないのです。政策決定者以外の仕事はルーチン業務であり、高い給与を出し、能力が高い人を雇う必要はないわけです。役所がいばっていて、給与も高いというのは共産主義国家のようです。

 

4)能力育成の不適合:役所ではどのようなスキルを、なんの社会的なメリットの為に伸ばす必要があるのでしょうか?最近役所はやたら丁寧に対応をすることに力をいれているようですが、そのようなサービスを上げる必要性はあるのでしょうか?若い人は社会に貢献できる新しいテクノロジーや技術を身に着けるべきでありそれができない国は競争に敗れていきます。

 

5)政策の間違いの認識とそれに伴う社会的圧力:日本の財政赤字は雪だるま式に大きくなっています。財政赤字は国債でまかなわれていますが、誰も買わないので日銀がお金を発行して購入しています。国債は金利支出で一般会計を継続的に苦しめるだけでなく、日銀がその分の通貨を発行しているので、流通通貨が増え貨幣価値が目減りしていきます。日本は少子化、高齢化であり、国として歳入が増える見込みはたっていないのです。縮小傾向にある会社が意味もなく借金を増やしている状態が続いています。市場に潜在性がない中で安倍のミクスのようなサプライサイドはワークしないので、いつかつけを払わなければならないのです。財政赤字は通常、短期的にはそれなりの効果があると言われていますが、何十年も続けていけば、その国の通貨、経済を破綻させるリスクがあります。つまり、歳入が一気に増える見込みがない中で、財政支出を減らさざるを得ない状況がいつかは来るのです。公務員は財政支出に依存している組織なのです。

 

 

株価の高騰だけを見ていると日本経済は戻ってきているように見えますが、これは間違いです。利益が増えている企業は輸出や海外のオペレーションを伸ばしている企業、或いは外国人観光客からの収益に依存している企業です。その他国内産業も世界水準でみて安い労働者の給与により、利益を確保できています。つまり、一般的な日本人や労働者にとってはあまり良い状況にはなっていませんし、一般的な日本人に奉仕する公務員が高い給与を得れる将来は想定しにくいのです。

 

では、若者はどのようなキャリアを考えるべきでしょうか?それは日本企業と同様の方向になります。つまり、自分自身も国際化させ、世界どこでも働けるような能力を得ることです。海外に出るとわかることですが、ちゃんとやっていれば意外と海外での就職は合法的にできる時代です。日本は住みやすい良い国ではありますが、日本だけを収入の場、労働の場と考えると生きずまります。リモートでの労働を認めている企業も増えています。海外企業に働きながら日本に住むことは可能です。課題としてあるのは海外の企業でも雇ってくれるようなスキルを身に着けているかどうかです。